EA職人のEA講座【001】重視する項目と最大ドローダウンについて



2024年11月のお知らせ 『同じチャートパターンでも優位性の強度が全く違う!強さの測定方法と考え方/ちゃんと理解してますか?意外と奥が深いダウ理論とトレンド転換』を配信しましたのでご確認お願いします。

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どんなEAも年利1000%に改造可

EAに限らずFXの手法で気になる指標と言えば勝率、月利、PF(プロフィットファクター)など様々ありますが、EA開発者として重視する指標の一つに最大ドローダウンがあります。

何故これが重要なのかと言うと、これにより必要証拠金が決まるからです。最初に運用資金をいくら用意すれば良いか?が決まると。

例えばドル円1万通貨(0.1ロット)で1年間運用すると10万円稼げるEAがあるとします。

1万通貨ですと100pipsで1万円の稼ぎになりますので、つまりこのEAは『1,000pips/年』稼ぐと言うことになるのですが、ここで問題。

このEAは年利何%稼ぐことが出来るでしょう?1万通貨固定運用の場合で考えてください。





答えは「証拠金による」ですよね。預け入れていた証拠金が100万円なら年利10%、10万円しか預けていなかったら年利100%と言うことが出来ます。

証拠金1万円で始めていたら10万円の稼ぎは年利1,000%になりますので、つまり『1年で資金が11倍に!(初期証拠金1万円+利益10万円)』というトンデモEAに化けさせることも可能です。

このように証拠金が少なければ少ない程、派手な結果を謳うことが出来るのですが、ここで問題になってくるのが今回のテーマである最大ドローダウンです。

ドローダウンとは

ドローダウンについてはみなさん説明出来ますでしょうか?

ざっくり言うと、運用途中に資産価値(時価)が最大値からどれぐらい減ったか?を示す数値です。

その表現の仕方は資産総額に対する割合(%)だったり金額(円、ドルなど)だったりします。

例えば100万円で運用開始し、150万円まで殖えたとします。そこから負け初めて、または含み損が膨らんで資産価値が100万円まで減ったとします。

初期投資額と同じ金額に戻っただけでトータルでは損をしていないのですが、33%のドローダウン、または50万円のドローダウンということになります。

このようにして、とある期間の中で最も大きいドローダウンのことを最大ドローダウンと呼びます。

最大ドローダウンに関連する指標で注目すべきなのは金額とリカバリーするまでの期間、及びリカバリーファクター(※後述)です。

ドローダウンの割合は重要ではありません。何故ならこれは証拠金のサイズでどうとでもなるからです。

相対ドローダウン

例えば先程の1万通貨で10万円稼いでくれるEAの最大ドローダウン(DD)が5万円だったとします。

初期投資額(証拠金)10万円で運用開始し、10万円稼ぎ、時価総額が20万円になったところからドローダウンが始まり5万円減りました。

ドローダウンの割合は25%ですね。

別の人が同じEAを初期投資額(証拠金)100万円で運用開始し、同じように10万円稼ぎ、時価総額が110万円になったところからドローダウンが始まり5万円減りました。

ドローダウンの割合は4.5%です。

このように割合で示すドローダウンを特に相対ドローダウンと呼んだりするのですが、それまでに資産総額が最大でいくらになっていたか?によって大きく変わってしまうため運用する際の指標としては参考になりません。

また、相対ドローダウンは初期証拠金をいくらにしていたか?によっていくらでも操作できてしまうことから、これを極端に大きくして…

最大ドローダウンがこんなに小さい神EA!ついに完成!

のような数字のマジックを使ってくる方もいるので注意が必要です。

なので最大ドローダウンは金額の方に注目しましょう。ロットサイズいくつに対して最大ドローダウンがいくらなのか。

ひとくちに100万円のドローダウンと言っても、それが50万通貨での取引ならそんなに悪くありませんが、1000通貨だったらイヤですよね。

年利1,000%は可能か?

さて、それではこのEAを1万円の証拠金でスタートさせ、年利1,000%を達成させることは出来るのか?

もうお分かりですね。

バックテストであればこのEAがドローダウンせず右肩上がりに勝ち続けるタイミングが分かるので、そこからスタートさせれば達成させることは可能です。

例えば手持ちのヒストリカルデータを全て使ってバックテストをしたらこのような資金曲線になったとします。

一番都合がいいのは③のタイミングですね。

ここをバックテストのスタート地点にすれば大きなドローダウンを通過せず右肩上がりの資金曲線が出来上がり、『年利1,000%の神EA!ついに完成!』と宣伝することが出来ます。

リアルトレードでも同じです。もちろんその場合、事前に③のようなタイミングを知ることは難しいですが、運が良ければ達成することは出来ます。

運が悪ければ②のような場所からスタートすることになり、「このEAダメだ!」と手放した後に稼ぎ始め、「動かし続けていれば良かった!」となります。

どれぐらいの証拠金で始めれば良いのか?

例えばこちらは2023年3月10日から運用を続けているEAですが最大ドローダウンは32,328円となっています。

このドローダウンがいつ始まるのか?のタイミングは誰にも分かりません。運用を開始した直後に始まるかも知れませんし、1年後かも知れません。

だから相対ドローダウンのような割合で知ることには意味がないんですね。

運用額が大きくなってからドローダウンが始まればその値は小さくなりますし、運用開始直後など証拠金の少ない時期に始まれば大きくなりますから。

なのでこの場合は運用開始直後に32,328円のドローダウンが始まる前提で証拠金を決める必要があります。長期バックテストの結果があるのであれば、それも考慮して証拠金を決めます。

また、EAによっては複数ポジションを保有することもありますので、証券会社のレバレッジと最大保有ポジション数から必要証拠金を逆算することになります。

例えば1ドルが150円の時に1万通貨(=1万ドル)をロングする場合、150万円(150円×1万通貨)のポジションですからレバレッジ25倍なら必要証拠金は6万円(150万円÷25)となりますが、1000倍なら1500円(150万円÷1000)で済むことになります。

この計算と最大ドローダウンを組合せて証拠金を決めます。

長く運用していると、その最大ドローダウンを更新することもありますので、少し余裕をもって証拠金を入れておくのが基本です。

リカバリーファクター

先程「最大ドローダウンに関連する指標で注目すべきなのは金額とリカバリーするまでの期間、及びリカバリーファクターです。」と申しましたが、金額についてはもう大丈夫ですね。

リカバリーするまでの期間についてですが、これは言葉通りドローダウンが始まってから運用資金(証拠金残高)の最大値を更新するまでの期間です。

言わずもがな、この期間が短ければ短いほど優秀なEAであると言えます。

最後にリカバリーファクターですが、計算は簡単で『純益÷最大ドローダウン』で求めることが出来ます。

例えば先程のEAは1年の運用で125,835円の純益に対し32,328円の最大ドローダウンなので【3.89/年】ということになります。

もしこのまま最大ドローダウンを更新せず、次の1年も125,835円を稼いだとしたらRF(リカバリーファクター)は7.78(125,835×2÷32,328)になります。

一般的にはこの値が高ければ高いほど良いと言われていますが、PFや勝率など他の指標と同じで、これ1つだけでEAの優劣が決まる訳ではありません。

資金曲線の滑らかさなど他の気になる指標や運用成績と組合せ、また複数運用している場合はポートフォリオを考慮してEAを選ぶことが重要になってきます。

私の開発したEAのコンセプトと運用ポリシー






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