




Contents
ポジショントークとチェリーピッキング
見ているけど見えていない

人は自分に都合の良い情報だけを検索し取り入れる習性があります。

逆に都合の悪い情報は視界に入ったとしても目に入らないわ。

例えばこんなことってないかしら。
自分の持っている株が急に下がってしまい、含み損を抱えてしまった。
頭では損切をしなければならないと分かっている。でも出来れば損切りしたくない。
でもこれ以上損失が広がることは避けなければならない…

とうしろ
頭では損切をしなければならないと分かっている。でも出来れば損切りしたくない。
でもこれ以上損失が広がることは避けなければならない…

そうだ、これ以上この株が下がらない理由を探しに行こう。

なんだこの、【そうだ、京都へ行こう】みたいなノリは…

ヤフーファイナンスへ調べに行ったらアナリストAがこんなことを言っていたわ。
答えは最初から決まっている

業績悪化が懸念されたため一時的に下落。しかし配当は維持されると予想されるため押し目を拾う投資家によって今後持ち直すだろう。

だよな。じゃあ今すぐ損切りする必要はないよな。
この時点で頭の中ではそれが絶対的に正しい事実として刷り込まれている。

はい。ではこの状態で別のアナリストの意見でも見てみましょうか?
ご都合フィルターでシャットアウト!

業績悪化が懸念されたため大株主がこぞって売却。今後の見通しも立たず監理銘柄(上場廃止)も視野に。

はぁ?なに言ってんだこのアナリスト。配当は維持されるのに監理銘柄になる訳ねーだろ。配当維持で株価が下がったって事は、利回りの美味しい銘柄になったってことだろ。ダメだなこのアナリストは。なにも分かっちゃいない。

これがポジショントーク…
恐ろしいまでのご都合ぶりね。
恐ろしいまでのご都合ぶりね。
認知的不協和

自分の中で矛盾が生じると、自身を正当化するため思考を変え、その矛盾を解消させようとする心理が働くんだ。

【自分は間違っていない。失敗していない。愚かではない】と思いたいため、なんとかして正当性を裏付ける情報を探すんだな。

自分を過大評価している人や変にプライドが高い人なんかそれはもう探しまくりよ。

チェリーピッキングの始まりね。
チェリー・ピッキング
数多くの事例の中から自らの論証に有利な事例のみを並べ立てることで、命題を論証しようとする論理上の誤謬、あるいは詭弁術。
cherry-picking の語義は、サクランボの熟した果実を熟していないものから選別することであり、転じて「良い所だけを取る」の意味で使用される。
数多くの事例の中から自らの論証に有利な事例のみを並べ立てることで、命題を論証しようとする論理上の誤謬、あるいは詭弁術。
cherry-picking の語義は、サクランボの熟した果実を熟していないものから選別することであり、転じて「良い所だけを取る」の意味で使用される。

客観的に見るとなんて愚かな…って思うかも知れないけど、ポジションを持っているとどうしてもバイアスが掛かるわ。そして自分がそうなっていることに気付かない。
保有バイアス

保有バイアス…だったかしら。自分の持っているモノを過大評価したり手放したくないと思うようになる心理現象。

愛着バイアスとも言うね。自分が愛着を感じているモノは、他人も同じように価値を感じているだろうと思う心理。
私の選択は間違っていない

え~…そのバッグってそんなにするの~?
高くない?
高くない?

はい?これ本革なんですけど?それでこの値段ってコスパ良過ぎぃ~。買ってよかった~。もうこの値段じゃ手に入らないわよ。

な~んだ。
自分で買ったのか…フッフッフッ
自分で買ったのか…フッフッフッ

もう何年も乗ってないクルマを断捨離できないのもコレなのかしら。「思い出がいっぱい詰まったクルマだし、その値段で売るのはちょっとな~」っていつまでもウジウジしているやつ。

説明をすればその車に詰まった自分の思い出の価値を分かって貰えると思ってるから決断できないのね。

他人にとってはただの中古車なんだがな。つ~か、それって元カレのことか?

他人の話だと想像しにくいので、ちょっと実験をしてみようか?
スマホ実験
あなたは世界で100台限定の非常にレアなスマホを手に入れました。
5万円までなら出してもいいと思っていたところ、運よく定価の3万円で手に入れることが出来ました。
そのスマホは当然すぐ完売になり、ヤフオクでは10万円以上の値段で落札されていました。
あなたはいくらならそのスマホを売ってもいいと考えますか?
3万円以上で売ることが出来れば儲かります。
当初感じていた価値である5万円で売れれば2万円儲かります。
どうでしょうか?
10万円以上じゃなきゃ売りたくないなんて考えているのではないでしょうか?
5万円までなら出してもいいと思っていたところ、運よく定価の3万円で手に入れることが出来ました。
そのスマホは当然すぐ完売になり、ヤフオクでは10万円以上の値段で落札されていました。
あなたはいくらならそのスマホを売ってもいいと考えますか?
3万円以上で売ることが出来れば儲かります。
当初感じていた価値である5万円で売れれば2万円儲かります。
どうでしょうか?
10万円以上じゃなきゃ売りたくないなんて考えているのではないでしょうか?

手に入れる前、そのスマホに感じていた価値は5万円だったけど、手に入れたことで倍の10万円にまで跳ね上がったと言うことね。

ヤフオクを見てしまったからな。でも、今自分がそれを持ってなかったら10万円出してでも買いたい!とは思わないんだろうな。

つまり、持っていなければそのスマホに10万円の価値を感じないけど、売るとなると10万円以下じゃイヤってことね。矛盾してるけど。

その価格のギャップが保有バイアスってことだね。次はアメリカで行われた実験のお話だよ。
マグカップ実験
-
学生をランダムに集め、2つのグループ(AとB)に分けました。グループAには大学のロゴ入りマグカップをプレゼントします。
- Aには「いくらならマグカップを売ってもいい?」
- Bには「いくらならマグカップを買ってもいい?」 と質問します。
- A:7.12ドルなら売っても良い
- B:2.87ドルなら買っても良い
その直後、
このマグカップは購買部に行けば6ドルで購入できるものです。回答は平均すると次のようになりました。
どうでしょう。持つ者と持たざる者の価値観の差がお分かりでしょうか。
プロスペクト理論

人間には、自分の所有物を高く見積もる傾向があります。

それにしても随分差が出たわね…
2.5倍の差だわ。
2.5倍の差だわ。

行動経済学で言うプロスペクト理論ね。トレーダーなら1度は聞いたことがあるんじゃないかしら。利確は早いのに損切りは遅い人のアレ。

新しい物を手にしたときに得られる喜びより、所有している物を失う痛みの方が大きく感じるのよね。

その比率は1:2~2.5程度と言われていて、例えば100万円得た時の喜びより100万円失ったときの痛みの方が強く感じるらしいよ。

まさにさっきのマグカップ実験の結果そのものね…
欲よりも恐怖

マーケットは欲と恐怖で動いている…なんて言うけど、欲1、恐怖2で動いているって表現の方が近いかもね。
例えば含み益のあるポジションを保有しているときの心理。
利益がどんどん増えていく喜びより、それがいつか減ってしまうのではないか?と言う恐怖の方が強いと言うこと。
利益がどんどん増えていく喜びより、それがいつか減ってしまうのではないか?と言う恐怖の方が強いと言うこと。

ははぁ~。だからせっかく利益が膨らんでいるのに耐えられなくなって、「えいっ(゚Д゚)!」ってチキン利食いしちゃうんだな。

そうよ。だからあなたは勝てない。

小娘が…

含み損を抱えたポジションの場合、そうはならないよね。

確かに。含み損が減って利益になってしまうかもしれない…「えいっ!損を確定してやれ(><)!」とはしないな。

だからあなたは勝てないんだってば。

小娘が!

本当はそうした方がトータルで利益を残せるんだけど本能が邪魔をしてそれが出来ないのね。
想定外のことが起きているのに見て見ぬフリをするのがダメなのです。なので損切りするかしないかを論じること自体はあまり重要じゃありません。今回も小手先の話ではなく、相場の本質からアプローチしていきます。損切り貧乏の人はあと一歩で勝ち組になれます。




