EA職人のEA講座【025】確率統計的にバックテスト期間やトレードのサンプル数はどれぐらいが適切か?



2024年11月のお知らせ 『同じチャートパターンでも優位性の強度が全く違う!強さの測定方法と考え方/ちゃんと理解してますか?意外と奥が深いダウ理論とトレンド転換』を配信しましたのでご確認お願いします。

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EA開発者の悩み

様々な相場環境でテストさせる…という意味で、長ければ長い程よいと思う方もいますが本当にそうでしょうか?


バックテストの長さについては10回目の講座で、『20年』など極端に長いのは意味がないどころか過剰最適化をしている可能性が高いことをお話ししました。

また、この議論をするときは当然ですが使っている手法やトレード頻度を考慮する必要があります。

スキャルピングやデイトレードのように毎日何度もエントリーするEAと、月に数回しかエントリーしないスイングトレードでは狙っている波の大きさが違いますよね。

つまりサンプル数が全然違う。

1日1回トレードする手法なら1年で約250回のサンプルが採れますが、週に1回のトレードなら52回しか採れない。

1日10回取引するEAなら1年で2500回なので10年で25000回のサンプル…う~ん…こんなに必要かなぁ?

のようになるかと思います。

テスト期間が長いのに、つまりどのような相場環境でも成績が安定しているEAは過剰最適化をしている疑いがあるのと同じで、サンプル数が極端に多いのにどこを切り取っても成績が安定している…という場合も過剰最適化している可能性があります。

過剰最適化は5回目のEA講座で実際にMT4を使って開発の仕方をご覧に入れたように意図的にやることも出来ますが、実際には開発者本人が気付いていない場合が殆どです。

そうならないように気を付けていても、気付いたらやっちゃってた…ってこともあり、開発者の悩みの種でもあります。

だからフォワードテストが重要なんですよね。

例えばバックテストでは20年間安定して稼いでいるようなEAでも、リアルでは運用直後からビックリするぐらい勝てない…なんてことも本当にあります。(手書きで資金曲線の例)

直後から…ですよ。最初はしばらく稼いでいたが、段々勝てなくなった…ではなく『直後から』です。

過剰最適化ってのはそれ程恐ろしいのです(笑)

そういう世界なので、リアルトレードで最初の数ヶ月だけでも稼ぐことが出来たら結構優秀な部類に入ります。

答えのない問題

ここまでのお話を理解すればバックテストやフォワードテストの期間はどれぐらいが適切か?が自ずと見えてくるのではないかと思います。


大切なのは様々な相場環境を乗り越えられる潜在能力が備わっているのか?であり、期間の長さそのものでは無い事。

ありとあらゆる相場環境で安定して稼げるEAは確かに理想だが、そのような聖杯EAは過剰最適化されている可能性が極めて高く再現性が低いことを理解する。

様々な相場環境を乗り越えられることと、様々な相場環境で安定的に稼げることは違うということを理解する。

テスト期間だけでなくサンプル数も同時に考慮する必要があり、それも多ければ良いという物でもない。

これらを理解すれば現実的なテスト期間、現実的なサンプル数が分かるようになる。

受験勉強の弊害だと思いますが、多くのEA運用者は…

最低でも何年必要です!

最低でもサンプル数はいくつ必要です!

のようなハッキリした答えを知りたがりますが、現実世界では答えのない問題の方が多いです。

今回のバックテスト期間やトレード回数にしても、そのEAがどのような手法を使ってどのような優位性を拾おうとしているのか?によって、どれぐらいが適切なのか?が変わってきます。

それどころか、運用者がそのEAに求めている稼ぎ方や取れるリスクによって変わることもあります。

普遍性だけが原理原則ではない

これらを考慮すると、極端な話バックテスト期間が1年でも問題が生じないケースもあります。

直近に発生している優位性を、それが無くなるまで拾い続ける短期決戦タイプのEAなどがそれに当たりますね。


随分前の話ですが、一時的に発生した、まだ誰も気付いていないであろう台湾ドルの優位性に気が付き、数ヶ月で数千万円稼いで勝ち逃げしたトレーダーがいましたがそんな感じです。

裁量トレードに於いて相場に普遍性を求めているトレーダーからすると…

誰がそんな短期決戦EAなんか使うの?

と思うかも知れませんが、先ほどの台湾ドルトレーダーのように相場の原理原則を一般的なトレーダーとは別の意味で深く理解しているトレーダーがそのようなEAや手法を使って短期集中で稼ぐことがあります。

そのようなEAを求めている人にとって、20年のバックテストなど無用の長物だってことは分かりますよね。

20年という長期間の、ぬる~い優位性に頼って、ぬる~く稼ぐより、一時的に発生した強力なエッジを利用してガツンと稼いで勝ち逃げする…これを繰り返した方が資金効率良くね?という理屈です。

実は私もリスクヘッジの観点からこのようなトレードを行うことがあります。

長期的に機能する手法や普遍的な原理原則に沿ってトレードをする傍ら、一時的に強力な優位性が発生したらそれを味方に付け、普段とは少し違ったトレードをする…

文字通り一時的な物なのである程度稼いだら勝ち逃げをする。

ここで多くの方が「一時的って具体的にどれぐらい?」と、また答えを知りたがると思いますが、これも答えはありません。

1ヶ月で終わってしまう物もあれば3年ぐらい持続する物もあります。

それをどうやって知るのか?は、日頃の観察力や環境認識能力、想像力次第です。

私がYouTubeでやっているようなファンダメンタル分析も必要ですね。

運用計画を立てるために

これらの事からも分かるように、EAの運用計画を立てるためには長期であれ短期決戦であれその中身を…ロジックをある程度把握しておく必要があることが分かります。


自動売買界隈は、中身を全く公開していない…完全ブラックボックスなEAで溢れています。

なので最初に出来る事と言えば、中身の分からないEAには手を出さないこと。これに尽きます。

FXには様々なリスクが付き纏いますが、中身の分からないEAを運用すること程危険なことはありません。

『爆益EA!(でも中身は秘密)』のようなEAに引っ掛からないよう気を付けてください。

ブラックボックスの弊害については18回目の講義「自動売買初心者が選ぶべきEA」でもお話していますのでご参考になさってください。

私の開発したEAのコンセプトと運用ポリシー

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